ウォームアップを見直そう

ウォームアップの重要性は理解していると思います。今回は、ウォーミングアップについて考えてみました。ウォームアップ
新潟県 JTAブロック合宿にて(2018年)

ウォームアップの現状

初めてのチームに、トレーニング指導をお願いされた場合、私はまず、普段やっているウォームアップをやってもらいます。
「ウォームアップはもうやりました」と言われることがほとんどですが、もう一度やってくれるようにお願いします。

理由は、ウォームアップを重要視しているからです。
ウォームアップを見ると、必ず改善点が見つかるからです。

私は、ウォームアップはただの準備運動ではなく、トレーニングの一部だと考えています。毎日、トレーニングの時間を、練習とは別に取ることができなくても、適切なウォームアップを行えば、トレーニングの一部になると思うからです。ウォームアップは毎日、必ずやるでしょうから。

指導者や顧問の先生に「このウォームアップの内容は,どのように決めたのですか」と聞くと

・前からやっている
・前からやっているやつに、少し加えた
・講習会でやっていたのを取り入れた
・本に書いてあったのを参考に…

などの答えがほとんどです。いろいろ工夫されているのは、理解できますが、まだまだ改善の余地があり、もったいないと思うこともあります。

今回は、ウォームアップの目的と工夫のヒントについて書いてみました。
チームで取り入れているウォームアップを、もう少しいいものにしよう、というのがテーマです。

ウォーミングアップの目的

まずは、ウォーミングアップの目的を確認しましょう。

身体全体の体温を上げる

よく使う筋肉の温度を上げることが目的です。筋温の上昇により、これから活発的な運動をおこなうための、身体の準備ができあがります。

筋肉への血流が増え、粘性の低下が起こります。「粘性の低下」とは、筋肉の粘り気がなくなる(硬いものが柔らかくなる)、スムーズに筋肉が伸びるといったほうがイメージしやすいでしょうか。
関節も滑らかに動くようになります。柔軟性の向上も期待できます。

神経の伝達速度を向上させる

身体全体の体温が上がり、筋温も上がることによって、筋肉の反応が良くなります。筋肉が伸びたり、縮んだりする速さが高まります。
ウォームアップは身体を動かすためのリハーサルです。脳と神経の繋がりが、よくなり反応時間が向上します。スピードや筋力も高まります。

運動や競技における心の準備

練習や試合に向けて、心の準備になります。ウォームアップは練習や試合前に行う、一連の儀式のようなもので、緊張感や集中力を徐々に高めていく効果があります。仲間との一体感もうまれます。

このような目的があるのを理解し、児童生徒に伝えてみましょう。
そしてウォームアップによって、得られるメリットを受けるために、よく考えてウォームアップに取り組みましょう。

ウォームアップの工夫

目的やメリットを踏まえたうえで、これまでやってきたウォームアップに少し工夫を加えてみましょう。

何のために、このウォームアップをしているのか明確にする

先にあげたウォームアップの目的を理解して、取り組むことが大切です。児童生徒は、ぼんやりとは理解しているものの、指導者に「やれ」と言われているから、やっていることがほとんどです。ケガ予防のため、と理解している子たちもいますが、身体の準備や気持ちの準備のためでもあるんだよと教えたいものです。

ときどきウォームアップの見直しをする

どうしてもマンネリ化してしまいます。パーターン化してしまい、いつもの流れで、やっていることが多いのではないでしょうか。指導者がいない時は、適当にこなしている、こともあります。高校生くらいになると「ほぐし」と称して、ダラダラとやっているのもよくみかけます。ウォームアップが形骸化されています。

飽きてくるのを防ぐため、ときどきパターンや種目を変更してみましょう。

ラン(スプリント)なら

・ストップ&ゴー(停止したり走り始めたり)を入れてみる
・いろいろなターンを入れてみる
・前だけではなく、後ろや、横、斜め、斜め後ろに走ってみる
・スキップで走ってみる
・いろいろな体勢からスタートしてみる など

ウォームアップ種目を1つ1つ練習してみる

練習時間が限られている中、トレーニングの時間が取れないのは現実でしょう。しかし、いちど時間を十分にかけて種目をチェックしてみましょう。気を付けなければいけないポイント、身体の角度、タイミングや動きなどの確認をしてみましょう。

ジョギングならば、

・どれくらいの強度で
・どれぐらいの距離を
・何分ぐらいかけて

など細かくチェックしてみましょう。

以前、私は、チーム内を3グループに分け、ウォームアップ大会をしました。
普段やっているチームのウォームアップをグループで話し合い、練習をして、他のグループに披露するといったものです。

盛り上がりに欠けるかなと、思ったのですが、思いのほか盛り上がりました。汗をかき、息も程よくはずみ、とてもいい動きをしていました。
効果はあるのですが、長くは続かず、ときどきウォームアップ大会を実施します。
(高校生に限らず、定着させること、なかなか難しいものです)

一般的と専門的ウォームアップを考える

ウォームアップには、「一般的ウォームアップ」と、「専門的ウォームアップ」があります。
「一般的ウォームアップ」とは競技種目にとらわれず、ジョギングなど、ゆっくりとした運動や、強度が低い運動などを行うことです。全身の体温を高め、心拍数や呼吸数を上げることが目的です。また、お尻や、太ももなどの大きな筋肉を使う動作を中心におこなうのも特徴です。

「専門的ウォームアップ」とは競技で必要とされる動作や、技術や戦術を考慮して行われるものです。フットワークであったり、ポジション別の動作であったり、競技の種類によって変わります。野球で例えるなら、キャッチボール、素振り、ベースランニングなどがこれにあたります。
一般的ウォームアップより、強度が高い運動が多く、ラン(スプリント)やジャンプ、バウンドなど、試合時の心拍数に近い運動を実施します。

この2種類のウォームアップを、取りいれでください。
順序は「一般的」から「専門的」です。
時間は、チーム事情や環境・状況・状態によって変わりますが、各10~15分、計30分ぐらいが目安です。

普段、行っているウォームアップの順序の入れかえや、強度設定の変更など、一度見直してみてください。
同じウォームアップでも、これまでと違うウォームアップのようになり、効果もアップするかもしれません。

練習前に必ず行うウォームアップ。
あまり考えずにやっていては、もったいないです。

一度、ウォームアップを見直してみることをお勧めします。ウォームアップ2

おまけ

いつか、私が実際に行っているウォームアップを紹介したいと思っています。

特に小・中学生のウォームアップ指導は大好きです。
ときどき私も夢中になってしまいます。
反省です。。

 

おしらせ 2  
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