「ゆっくりすること」と「速くすること」。これらの動作はスポーツ競技だけでなく、日常生活においても大切です。しかし、そのどちらかしか、できないこともあります。カラダを上手く調節して、そのどちらもできるようにトレーニングをしていきましょう。
*御徒町にて
「速く」しかできない
日ごろからトレーニングをしていないと、力の調節が上手くできません。「ゆっくり」しかできなかったり、「速く」しかできなかったりと力の調節が上手くできないのです。
中高年の方の運動サポートをこれまでしてきて、いつも思っていたことがあります。
それは、加齢と運動不足になると力の調節が上手くいかないことです。
例えばイスを使ったスクワット。
よくスクワットの導入トレーニングとして取り入れていました。
イスに座ったり、イスから立ち上がったりと日常でよくある動作のトレーニングです。
できるだけ足腰(おしり)の筋肉を使って欲しいので、イスにゆっくり座ってもらうことから始めます。
ゆっくりですから、高齢な方もできると思うでしょう。
しかし実際は「速く」しか座れません。
「速くしか」という言葉は語弊(ごへい)があります。
「ゆっくり」と座ることができないのです。
自分のカラダを支える筋力や、自分のカラダをコントロールする感覚などが
少し衰えてきているので、ゆっくり座ろうにも、「ストン」としか座れません。
重力に負けて、おしりをついてしまうのです。
誤解を恐れず言えば、イスの座面に転んで(落ちて)しまうのです。
自分で筋力を調節して、ゆっくり座ることができないのは
筋肉と感覚の調節が上手くできないと言ってもいいかもしれません。
「ゆっくり」しかできない
イスを使ったスクワット。運動不足の人はイスに「ゆっくり」と座わることができません。
次のトレーニングはイスから立ち上がるスクワットです。今度は「速く」立ち上がることができません。「ゆっくり」としか立ち上がれないのです。
イスを使ったスクワットですから、イスから立ち上がることもトレーニングです。
「どっこいしょ」と言って立ち上がることは、ほとんどの方ができます。
掛け声が自然に出てくるのは、声を出すとタイミングがとれ、
力が出しやすいことを感覚的に知っているからです。
(「静かに立ってくださいよ。みなさん若いんですから」と言うと笑ってくれます。私の講習会での鉄板ネタです)
しかし「速く立ってみましょう」と声をかけ、やってもらうと、
ほとんどの方は、上半身の動きは素早いのですが、速く立ち上がることができません。
先ほどのイスに座るのとは反対に「ゆっくり」しか立ち上がれないのです。
上半身はあたふたしていますが。
今度は素早い動きができないのです。
これは、加齢と運動不足による、速筋の低下が考えられます。
筋肉には
力は弱いですが、長い間力を出し続けることが得意な「遅筋」
と
長い間力を出し続けることは苦手ですが、力が強い「速筋」
があります。
その「速筋」は加齢と運動不足によって「遅筋」よりも衰えやすいのです。
極端な例ですが、高齢者でもマラソンが速い人はいますが、
100m走が速い人は少ないのはそのためです。
⇒もしもあなたが魚だったら。赤身のマグロですか。白身のヒラメですか。
「ゆっくり」できて「速く」もできる。そのためにはトレーニングを
「ゆっくり」座ることができる。「速く」立つことができる。自分のカラダをコントロールできるようにするためにトレーニングをしましょう。
中高年の運動サポートで、このイスを使ったスクワットをすると、みなさん自分のカラダをコントロールすることに意識がむきます。
これまで何百回と、イスの立ち座りをやってきたのにも関わらず、
初めてこの動作に意識を向けるのです。(リハビリではあるかもしれませんが)
それはあたりまえです。
イスの立ち座りに、わざわざ意識を向ける必要がないのです。
この動作は自動化されているのです。
しかし自動化は良いことばかりではありません。
楽する動き、エコな動きになってしまうからです。
(それがすべて悪いとは言っていません)
ドスンと座り、ゆっくりと立ち上がる。
その方が楽なので、合理的だともいえます。
地球上には重力があります。常に力が地面の方向にかかっています。
イスに座るとき、その重力を利用して、力を入れずに座れば
「ドスン」と座れます。
「速く」座れるのです。
今度を立ち上がりです。先ほど、「速筋」は力が強いと言いました。
「速筋」は一気に大きな力を出すのが得意な筋肉です。
しかし、体重という重りを一気に持ち挙げるのは大きな力(エネルギー)が必要です。
その力を使わず、力は弱いのですが、持久力のある「遅筋」に任せます。
その方が大きな力(エネルギー)を使わなくても済むからです。
エコな動きをしていると言ってもいいかもしれません。
だから「ゆっくり」立ちあがるのです。
「合理的だからいいのではないか」と言われそうですが、
それがすべていいとは限りません。
歩くことも走ることも、すべて重力に抵抗した動作です。
重力に抵抗しなくてもよい姿勢とは寝ていることです。
立っていること自体が重力に抵抗しているのです。
立っているために、重力に抵抗するには寝ているよりも3倍のエネルギーが必要です。
3倍のエネルギーを使わなければいけないのです。
⇒METs(メッツ)を使って簡単に消費カロリーを計算しよう
極端かもしれませんが、ドスンと座り、ゆっくり立ち上がってばかりいると
最後には重力に負けてしまい、立ち上がれなくなります。
立ち上がれない=寝たきりなのです。
もちろん、すぐにはならないのですが、
重力に負けないようにトレーニングをしていかなければ
どんどん寝たきりに近づいていくのです。
とても恐ろしいことです。
そのようにならないように、トレーニング(筋トレ)をして
重力に対抗していきましょう。
筋力トレーニングは重力と抵抗するためのカラダをつくるトレーニングなのです。
【編集後記】
昨夜、遅くなりましたがiPhoneをやっとアップデート。
バックアップを取っていない私はいつも「一か八か」です。
(ダメダメですね)
何とか大丈夫でした。ちょっと戸惑うこともありましたが。
おかげで入れたかったアプリがやっと入りました。
FastEver 3です。730円でした。(ちょっとお高め)
しっかり使いこなしたいと思います。
【昨日のOnce a day】一日一回新しいことを
・手書きの請求書