「将来はスポーツ選手になりたい」新小学生がのぞむ夢

新小学生男子の将来の夢は21年連続1位、「スポーツ選手」だそうです。

押す、引っぱる、まわす、投げる、回る、とぶ、走る、およぐ

今日の新聞や、ラジオで「新小学1年生の就きたい職業」のアンケートの結果が話題になっていました。ランドセルで有名なクラレが自社の素材を使ったランドセル購入者の男女各2千人。子どもとその保護者から回答をえたとのこと。

アンケート開始以来21年連続、男子の1位は「スポーツ選手」

運動やスポーツに携わっているものとしてはうれしい限りです。
今日は子どもの時期のスポーツについて考えます。

子どもたちがスポーツに出会うきっかけは何でしょうか。

・親の影響
・兄弟姉妹の影響
・友だちの影響

正確なデーターはわかりませんが、この3つは遠からずでしょう。
友だちの親は
「野球させたいけど、本人バスケットやりたがっている。」
「サッカーやりたがっているけど、仕事の関係でお茶当番できないよ」
「スキーやらしたいけど、お金かかるし、スキー場遠いし」

なんて言葉をよく聞きます。
と言いつつも、子どもの希望を最終的にはかなえてあげる親がほとんどで、頭が下がります。
決して余裕があるわけでもなく、しかし子どものためにと時間とお金をかけている保護者の気持ちを、ひしひしと感じながら指導するときもあるわけです。

地方での強化合宿中、1日中ビデオを撮っている保護者を見かけると、「たまたま数人の保護者だけだから目立つけど、時間があればそうしたい保護者もたくさんいるんだろうなぁ」と思い、私のギアが一段上がることがあります。

新1年生が、友だちやお兄さんお姉さんと遊ぶために行っていた、練習場が成長期をむかえ、次第に勝ち負けを意識する戦いの場に変わっていくわけです。戦いは相手や相手チーム、そして一緒に通っていた仲間とも。

そんな中で、本人も保護者もスイッチが入るわけです。

でもちょっと待ってください。自分の子どもはちゃんと

ものを押すこと・力強く引っぱること・回すこと、前転、後転・ボールを投げること、ジャンプすること、走ること、スキップすること、泳ぐこと、など

できてますか。

もちろん、なかには走るのが遅かったり、泳ぎが苦手だったり、する子どももいるかもしれません。そんなことを言っているのではありません。まったくできない、または、ものすごくその姿が、かっこ悪いということはないでしょうか。

これはやばいです。
「陸上やっているから水泳は関係ない」という保護者もいるかもしれません。

そのとおり!関係ありません。
その子が日本を代表する陸上選手。。成人であれば。

ほとんど完成された成人の選手ならば、いまさら泳ぎの練習は必要ありません。泳ぎの練習よりもすることはたくさんあるでしょうから。

運動の神経が活性化され、頭とそれぞれの筋肉の協調がどんどんつくられる子どもの時期。その可能性を狭めるのも、もったいない話でしょう。
競技の練習ばかりさせず、どんどん外に連れ出しましょう。登山でもいいです、プールでもいいです。ボウリングでもいいです。もしスキー場が近ければスキーやスノーボードも。

保護者も楽しんでください。じきに一緒についてこなくなりますから。反抗期と練習で。
いろいろ遊ぶそのなかで、キラリと光るものがあるかもしれません。本当にやりたい競技に出会うかもしれません。そして音楽や書道や絵画の道に方向転換するかもしれません。

たくさん体験して遊んでいるなかで自然と
押す・引く・まわす・とぶ・スキップするができるようになるかもしれません。

子どもの頃は、「〇〇競技馬鹿はOK、〇〇競技しかできない馬鹿はだめ~っ」

あまりいい言葉ではありませんが、私のモットーです。よく車バカとか釣りバカとか言いますよね。親しみを込めたバカです。「その競技が好きすぎてー」というバカはOK、「その競技好きすぎてーでも、ほかの運動できなーい。やりたくなーい」はだめなんです。子どもの頃は。
どうしてか。

・運動の神経が活性化する時期だから
・頭とそれぞれの筋肉が協調しやすい時期だから
・未完成な身体なのに同じ競技ばかりやるとケガの可能性が高まるから
・可能性はたくさんあればいいから

でしょうか。
1つ目と2つ目はトレーニングの研究ですが

適切なトレーニングをすることによって、発育発達に伴う筋力の増加よりもさらに筋力を向上させる可能性が報告されているのです。
8~12週の短期間の筋力トレーニングによって筋力が約30%~40%向上したというのは有名な話です。

筋肉がついた(筋肥大)ためと思われるかもしれませんが、子どもの血液中にある、筋肉を肥大させるホルモンは筋肉を肥大させるほど十分な量はなく
筋力向上は神経が力を出す命令ができるようになったからだといわれています。

子どものころは筋肉がつくというよりも神経が発達すると覚えていてもいいでしょう。そして、いつもと違う競技はトレーニングにもなり、骨が強くなったり、心肺機能が向上したり、例えば垂直跳びやダッシュのスピードなど動作の技術が発達します。

そして、自分を認め、肯定する自己評価が顕著に向上すると言われています。よいことづくしですよね。

3つ目。未完成な身体に反復練習やハードな練習。これが最悪です。肘、肩、腰、足首、膝。悪気のない無知な指導者はやっぱりだめです。
子どもは多少ケガしても治りは早いでしょう。そして多少の無理はきくでしょう。でもそれが続くと取り返しがつかないことになります。

子どもは、やっている競技大好きだし、試合出たいし、レギュラー取られたくありません。我慢強い子もいるでしょう。
痛みを訴えてきたのはよっぽどのことですから。

「練習後はしっかりストレッチしておけよ」
「ケガしないようにしっかり準備運動しておけよ」
「ケガしないように体幹トレーニングだ」

もう何も言えません。
将来ある子どもを預かる指導者さん、保護者の皆さん
一度考えてみてください。

4つ目は1、2、3が理解され、適切に指導を受けることができれば
その子の可能性が広がるでしょう。

ちょっとだけ長い目でみてみましょう。そしてちょっとだけ我慢しましょう。

以前聞いた話。知り合った競技指導者にトレーニングの重要性を話していた時、私にぽつり

「私もトレーニングの重要性を感じるんだけれども、一度導入したら保護者からクレームが入った。〇〇を教えて欲しいからお金を払っている。だから〇〇を教えて欲しいと」

高いレッスン料を払っているんだから、わからなくもないけれど、もう少し長い目で見ましょうよ。目先の優勝じゃなくて、そのずっと先の競技人生や、優勝でしょと。本人も、保護者もそれを望んでるんでしょと。

「小学校の時、野球肘で手術した。」
「小学校の時、サッカーで両足首手術した。」
「中学の時、柔道で腰、手術しけど、もう一回するかも」

といった高校生にあったことがあります。今となっては仕方がないことですが、誰かがもう少し早くわかってあげられればなぁ。痛かっただろうなーと思います。

年を取ると何もしなくても所々痛くなってくるもの。
若いころ何もケガをしていなくても痛いところ出てくるのに、若いころから痛いところあるなんて、その子が年を取った頃はどうなるんだろうと
勝手に心配するのは大きなお世話でしょうか。

子どもの頃は〇〇選手じゃなくて、運動選手になりましょう!
これも私のモットーです。

彼は小学校からの夢が叶いました。今度の夢は1軍デビュー&初勝利でしょうか。

 

 

 

おしらせ 2  
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