何気なくやっている、サーキットトレーニング。基本を理解すれば、アイデアもでてくるかもしれません。
木島病院体育館にて (病院でこの施設はすごいです)
サーキットトレーニングとは
サーキットトレーニングの基本を確認してみましょう。
小学生や中高生のスポーツ指導者のみなさん。
普段練習しているグラウンドや体育館などの広いスペースが使えないときがあると思います。
場所取りができなかった、雨が降った、雪が積もっている、など。
学校の廊下や教室、狭いピロティーなどでやらなくてはいけない場合も多いでしょう。
そこでは競技の練習ができないので、前任者から引き継いだサーキットトレーニングをメニューに取り入れている人も多いのではないでしょか。
そこで今回は、そんな指導者の方にサーキットトレーニングについて簡単に説明していきます。
「サーキットトレーニング」とは、有酸素性持久力トレーニングとレジスタンストレーニングを組み合わせたトレーニング方法です。
有酸素性持久力とは全身持久力のこと、スタミナといえば分かりやすいでしょうか。
あまり強度が高くない運動を長時間、持続する能力のことです。
レジスタンストレーニングとは抵抗をかけるトレーニングのこと。
器具を使ったり、自分の体重を利用したりする筋力トレーニングのことです。
サーキットトレーニングは、持久力と筋力を同時にトレーニングできる、総合的な体力トレーニングなのです。
効果
やるからには劇的な効果を期待したいところでしょう。
しかし効果のほどは、あくまでも有酸素性持久力と筋力の維持です。
かなりきつい種目もあるので飛躍的な体力の向上を期待したいところでしょうが、すごい効果を期待しないほうがいいでしょう。
スタミナを高めたいのなら有酸素性持久力トレーニングをする。
筋力を高めたいならば、レジスタンストレーニングだけをしたほうが効果的です。
しかし、工夫次第で
・短時間でできる
・いろいろなバリエーションがある
・狭いスペースできる
・道具や器具がなくてもできる
などの利点があります。
廊下や狭いスペースしかないときは最適ではないでしょうか。
そして維持しか効果がないといいましたが、運動初心者や初級者にはとっては体力の向上が期待できるとも言われています。
取り組むにあたって簡単なルールを紹介しましょう。
・上半身と下半身の種目を交互にやる
・5~10種目
・各種目10~20回、3セット
・種目間の休憩は30秒以内
・1セット10分くらい
などを目安にしてください。
一つ一つには理由があります。
簡単に説明します。
上半身と下半身を交互にやるのは、片方だけ種目をやっていと、その箇所が疲労してしまいます。
効果がうすくなります。
トレーニングを終えたばかりの箇所を休ませつつ、次の箇所を鍛えます。
休憩時間の短縮にもなります。
5~10種目というのは、種目が少なすぎても強度は低くなりますし、多すぎても時間がかかります。オーバーワークになることも懸念されます。
1回の回数は各種目10~20回。
本には10回だとか12回だとか20回だとかいろいろ書いてありますが、10~20回だと間違いないでしょう。
筋トレにおいて、筋持久力を鍛えるのには、自分の持てる最大の重さの、70%以下。
その重さで12回以上やると効果があるといわれています。
セット数も同じ理由からです。
私はだいたい6種目を連続で15回やってもらっています。
種目間の休憩です。
30秒以内。もしくはない場合もあります。
連続してすることが有酸素性持久力にもつながります。
軽い負荷で多くの回数を反復することで鍛えられる筋持久力的には休憩時間を最小限にしたほうが効果的です。
そして短い休憩時間で行うのがサーキットトレーニングの特徴だからです。
私は種目間の休憩を入れないことが多いです。
サーキットトレーニングの一例を紹介します。
バービージャンプ
全身運動
・立った姿勢から手をついて腕立て姿勢になる
・腕立て姿勢から両足を腰の下に素早く引き寄せ、しゃがむ
・すぐに立ち上がり手を伸ばし真上に飛び上がる
・着地をしたら手をついて、両足をうしろになげだし、腕立て姿勢にもどる
使う主な筋肉
太もも(大腿四頭筋)ふくらはぎ(腓腹筋、ヒラメ筋)おなか(腹直筋、内・外腹斜筋)お尻(大殿筋)など
腕立て
胸
・両手を肩幅よりやや広く。乳頭のラインに手をつく。
・手の真上に肘
・両足を適度に開き、頭から踵まで一直線にする
・お尻とおなかに力を入れて肘をまげて胸を床に近づける
・全身に力を入れて肘を伸ばし身体を持ちあげる
(一枚の板が持ち上がるように)決してお尻から上がらない。
使う主な筋肉
大胸筋(むね)、上腕三頭筋(にのうで)
僧帽筋(背中の上)おなか
スクワット
尻・太もも
・肩幅よりも少し広く足を開く
・つま先はまっすぐ、もしくは少し外に開く
・足裏全体に体重をかけ、お尻をひいて膝と股関節を同時に曲げていく
(イメージとしてはイスに座るようにする)
・目線はまっすぐ。後ろに倒れそうな場合は腕を前に伸ばし、バランスをとる
・可能なら太ももが床と平行になるまで腰をおとす
・床をしっかり踏んで立ち上がり、スタートポジションにもどる
使う主な筋肉
お尻、太もも、太ももうら、背中、おなか
バイシカルクランチ(エアー自転車こぎ)
おなか
・仰向けになり、股関節を直角にまげる
・両手を後頭部に当てて身体を30度くらい床から浮かし、
片側にねじりながら反対側の膝で肘にタッチする
・その時、反対側の足はのばす
使う主な筋肉
おなか、背中、太もも
スクワットジャンプ
全身、お尻、太もも
・スクワットポジションから太ももが、床と平行になる位置まで腰を落とす
・そのポジションから両足で床をしっかり押し、真上に飛び上がる
・着地をして静止。あらためてその位置から飛び上がる。
使う主な筋肉
全身、お尻、太もも
リバースランジ
お尻、太もも
・つま先をまっすぐ前に向け、バランスを保つために腰に手をあてる
・片方の足に体重を残しながら片方の足を後ろに一歩踏み出す
・前足を曲げ、後ろの膝が床につくようにコントロールしながらおろしていく
・前足のすねが垂直、後ろ足の太ももが垂直ならば安心
使う主な筋肉
お尻、太もも、太ももうら、内もも、など
*私の場合6種目 各15回 休憩なし 3セットをやってもらっています
サーキットトレーニングのまとめ
以上、サーキットトレーニングについて書いてみました。
種目の選択しだいでいろいろなバリエーションができ、広いスペースや器具がいらないのも助かります。
もちろんウエイト器具を使える場所があれば器具を使ってやっても同じです。
もう一度確認です。
・同じ箇所を連続で鍛えない
・種目は5~10種目
・回数は10~20回
・休憩は30秒以内
などを目安に、みなさんの指導対象に合わせて、工夫してみてください。
今回は、狭い場所や、器具のないところでもできるサーキットトレーニングについて書いてみました。
参考にしてください。
児童生徒に、ただ漠然とやってもらうのではなく、私たちが理解したうえで、サーキットトレーニングの指導できればいいですね。
そうすれば効果的で無駄のないトレーニングになります。
おまけ
2年前、高校サッカー部保護者会の代表をやっている私の親戚に、サーキットトレーニングのプログラム作成を頼まれました。
2人でかなりきついメニューを作成しました。
すると、今春より甥っ子がその部に入部することになりました。
おじさんが作成したメニューをトレーニングでしてくれるなんて、うれしい限りです。