バランストレーニングに使われる「バランスボール」や「ボスバランス」
バランス能力を高める目的でバランスグッズは使わないようになりました。
*左)バランスボール 右)ボスバランス
バランスグッズ
バランス能力を高めるために使われているグッズがいくつかあります。
・バランスボール
・半円型バランスボール(商品名ボスバランス)
・バランスディスク
など。
多くのメーカーがいろいろな名前で販売しています。
(形状や材質はほとんど同じですけど)
バランスグッズには使用目的がたくさんあります。
その中でも、バランス能力を向上させるために使っている人も多いのではないでしょうか。
以前、私も3つのグッズをすべて使っていました。
(バランストレーニングは大好きですし、得意です)
しかし、8年くらい前から、トレーニングサポートでは全く使わなくなりました。
選手にとって、バランスグッズを使ったトレーニングはあまり効果がないと思うようになったからです。
その理由をまとめてみました。
バランスグッズを使わなくなった理由
選手にとってバランスグッズを使って、バランストレーニングは必要なのでしょうか。
たとえばバランス能力を高めたいサッカー選手。
半円型バランスボールの上で、
・リフティングをする
・ボールを投げてもらいパスを返す
・片足リフティングをする
など、やっている風景をよく目にします。
(私も以前はいくつかやってもらっていました)
しかし、そのようなトレーニングが競技(ここではサッカー)の能力向上につながるのでしょうか。やって悪いことはないでしょうが、私はとても効率が悪いことだと思っています。
もちろん、ケガをした足首のリハビリや、バランスが全く取れない人にとっては有効だと思うのですが。
そもそもバランス能力に優れ、活躍している選手が、あえてバランスグッズでバランストレーニングをする必要がないと思うのです。
その競技で必要なバランス感覚やバランス能力は、競技練習の中でしか鍛えることができません。
いくらバランスボールや半円型バランスボールの上でトレーニングをしても、必ずそのプレーに活かされるかが、わからないのです。
先ほどのサッカー選手。
半円型バランスボール上での感覚と、ぬかるんだピッチ上では、バランス感覚が全く違うのではないでしょうか。
もしもサッカー選手として、バランス能力を鍛えたいなら
・バランスが崩れない足元をつくる
・倒れなくてもいいように踏ん張れる力をつける
・カラダの軸をとり安定性を高める
などのトレーニングをしたほうがいいのではないでしょうか。
とはいえ、サッカーの練習や試合では、あまりそんな場面が訪れません。
そのため多くのトレーニングコーチがウエイトトレーニングをすすめているのです。
ウエイトトレーニングに取り組み
・下半身の最大筋力
・踏みしめる力(パワーの向上)
・腹筋・背筋をコアエクササイズで
⇒コアエクササイズの「コア」はパワーエクササイズ。「パワートレーニング」を取り入れよう
⇒ウエイトトレーニング。メインであるコアエクササイズと補助エクササイズを覚えましょう
などできたえるのです。
バランスグッズを使うデメリット
バランスグッズを使ったバランストレーニングにはデメリットもあると思っています。
ケガのリスクが高まる
不安定な状態をあえてつくるバランスグッズ。
ケガのリスクが高まります。
「不安定の中でやるから鍛えられる」
と、いわれるかもしれません。
しかし、不安定ということは転倒(倒れる)リスクがあるということです。
トレーニング中の転倒はケガにつながります。
先ほどのサッカー選手。
足をひねってしまうリスクは高いのではないでしょうか。
もちろん足場が安定したところでも転倒のリスクがあります。
しかし、確率からいうと……。
トレーニングコーチの仕事のひとつはトレーニング中のケガのリスクを減らすこと。
ケガのリスクを最大限、避けなければいけません。
さらに難しいバランストレーニングに挑戦しなくてはいけない
トレーニングは漸進させなければ効果が止まります。どんどん難しいバランストレーニングに挑戦しなくてはいけなくなるからです。
トレーニングは漸進(ぜんしん)させなければいけません。
漸進とは、「少しずつ進歩する」という意味です。
同じトレーニングをずっとしているとカラダは次第に慣れてきます。
そのため常に変化をあたえなければいけません。
バランストレーニングをしていると上手くなってきます。
今まで難しかったことが簡単にできるようになってくるのです。
そのため、能力をさらに向上したければ、いまよりも難しいことをやっていかなければいけません。
よくやってしまうのはトリッキーなワザ。
ネットにはさまざまな動画が出ています。
もしトリッキーなバランストレーニングでサッカーが上手くなるのだったら、大道芸人はサッカーが上手いと言うことになります。
バランスシーソーに乗ったままジャグリングできますし。
(中国雑技団で世界一のサッカーチームができてしまいます)
適切な負荷をかけることができない
半円型バランスボールなどのバランスグッズを使うと、カラダにしっかりとした負荷をかけることができません。
不安定なカラダを制御しようとすると、カラダはいろいろな筋力を使います。
その制御のために、負荷をあたえたい場所に適切な刺激がはいりません。
適切な負荷がはいらないのです。
たとえば、使える筋力が「10」あるとします。
不安定なところでトレーニングをすると、
バランスをとるため「6」を使ってしまいます。
すると使えるのは残りの「4」。
「4」の刺激、もしくは「4」の負荷しか使えないのです。
しかし、安定したところでトレーニングができると、
バランスをとるには「0」とは言いませんが、わずかではあります。
残りの大半が刺激(負荷)になるのです。
安定したところで、適切に負荷をあたえる方が、効率がいいのではないでしょうか。
もちろん、バランストレーニングが必要ではないといっていません。
両足だけのトレーニングではなく
・スプリット(足を前後)
・ハーフニーリング(片膝立ち)
・ニーリング(膝立ち)
などポジションを変化させておこなえばバランストレーニングになります。
安定した足場で、バランスをとりながらしっかりとした負荷をかけることができるのです。
そのため、不安定な足場でおこなうバランストレーニングやバランスグッズを使ってのトレーニングをしていないのです。
**********************
バランスグッズを使って、トレーニングサポートをしていない理由をまとめてみました。
バランストレーニングの参考になればと思います。
ちなみに自宅にはバランスボール、ボスバランス、ムービングデスクなどすべてあります。
【編集後記】
昨日は初めてのグランドで野球部のサポート。
生徒も私も初めての場所でした。
生徒はテスト休み明けでカラダが重かったようですが、
外野の芝生でのびのびトレーニングすることができました。
【昨日のOnce a day】 一日一回新しいことを
・天池グランド